いま、ともに平和を考える
誰もが平和なくらしを願っているはずなのに
世界には争いによる悲しみや苦しみを抱える人がいます。
私たちができることは何かあるのでしょうか?
ウクライナから日本へ避難したマリーナさんと
「あいち・なごやウクライナ避難者支援ネットワーク」の
加藤さん、堀田さんに話を聞きました。
●愛知県内のウクライナ避難民在留者数は120人以上 ※2024年6月時点
●ロシアの軍事侵攻は2022年2月から(2年半以上続いています)
2014年3月のロシアによるウクライナ南部クリミア半島の一方的な併合から、現地の人々は長く苦しんでいます。
[あいち・なごやウクライナ避難者支援ネットワーク]
愛知県を中心に、東海地域のウクライナ避難者を支援するために発足した市民活動団体。県内の自治体や民間団体との垣根を超えた連携・協働を通じて、ウクライナ避難者の生活を支援。(2022年5月設立)
※コープあいちは、同ネットワークと連携する、名古屋市の支援登録制度を通じて、生活物資の輸送や食品の支援を行っています。
【日本のみなさんに感謝しながら1日も早い侵攻の終結を願っています】
トカチョヴァ・マリーナさん
ウクライナのクリミア南部から2023年5月に日本に避難し、名古屋市でくらしています。
◯戦闘の中、幼い孫を連れてやっとの思いで避難
日本に住む長女を頼って、次女夫婦と1歳になる孫の4人で避難しました。時には近くにロケット弾が飛んでくるような戦闘が続く地域から、幼い孫を一刻も早く避難させたかったのです。しかし、侵攻が始まったばかりに生まれた孫には病気があってすぐには出国ができませんでした。しかもクリミア半島はロシア占領下だったので、孫の正式な出生証明書も入手できず、ビザも取得できませんでした。それでもなんとかトルコへ出国することができ、ホテルのベッドで8年振りに安心して眠れました。そこで書類の手続きを始めましたが、滞在期間の制限のため2カ月後にはジョージアに移動。その後やっとビザを取得できました。出国してから来日までに約4カ月かかりました。
◯日本の自然にこころを癒やされる日々
日本は自然豊かな国です。寒い冬に咲く花を見たときには、なんてすてきな場所なのかと気に入りました。ウクライナには冬に咲く花はまずありません。今住んでいる市営住宅には小さな庭があり、ウクライナを思い出せる野菜やヒマワリを育てています。その庭を見ていると気持ちが落ち着きます。知多半島の内海を訪れたときには、クリミア半島の気候や風土に似ていると感じ、懐かしい思いがしました。
◯支えられながらも、自立した生活をめざして
ただ、夏は暑く冬は寒いのには困りました。ウクライナは集中暖房なので家中が暖かいのです。支援者の方に暖房器具をいただけて、とても助かりました。日々の生活のことは長女に相談すればほとんどのことは解決できますが、避難して1年もたつので、彼女に頼らないように努力して、今は一人でくらしています。一番の問題は日本語が話せないこと。日本のみなさんに感謝を伝えるために早く言葉を覚えたいですし、働くためにも重要です。今までに英語やドイツ語などを学びましたが、日本語はとても難しいです。祖国では経理職に長年携わり、責任ある仕事を任せられていたのですが、言葉の壁があるので、そのスキルを生かせる仕事に就けないのが残念です。
◯祖国の地に安心して立てる日が来るのを願って
日本での日々はとても穏やかで、戦争の怖い記憶から解放されることもありますが、祖国に残る人が心配でなりません。祖父母がよく「戦争を起こしてはならない」と口にしていたことの重さが、今は痛いほど分かります。ロシアの侵攻が終わり、祖国に安心して戻れる日が一日でも早く訪れることを願っています。
《あいち・なごやウクライナ避難者支援ネットワークの活動》
避難生活が長引く中「言葉」「就労」「子ども・若者の教育」「健康」「心のケア」等、問題はさらに複雑化・深刻化しています。
戦争によって、かけがえのない日常のくらしを失った避難者一人ひとりに向き合いながら、異国での生活の立ち上げなど、さまざまな支援を続けています。
●生活必需品/最低限の家電や家具
新規の避難者には、日本の酷暑や寒さをしのぐためのエアコンなども必要です。みなさんの寄付金で購入しています。
●心のケア/仲間づくり、居場所づくり
手芸をしながら近況をおしゃべりして楽しいひとときを過ごしたり、日本の風習に触れたりしています。合唱団を結成して練習に励み、コンサートを開催することも。避難者どうしの交流も行っています。
●個別のサポート/個別対応、孤立防止
病院、役所、学校への付き添いなどの個別支援は、「孤立」や「孤独」防止にもつながる大切な活動です。
◎以前は日本在住の親族を頼り来日する人が多かったのが、最近はそうでない人が増加。日本の言葉や文化に初めて触れるケースが多く、より手厚いサポートが必要。
〈長期化するロシアの軍事侵攻… 自分に何ができるのか?〉
・堀田 美希子(ほった みきこ)さん/ウクライナ在住経験を生かした対応をしています
[思いやりの心があれば]
もし身近で外国の方が困っていたら、迷わず声を掛けてみてください。少し不安かと思いますが、言葉が分からなくても強い気持ちがあれば、ジェスチャーなどできっと通じると思います。そういった声掛けが日本に住む外国人の方々の孤立を防ぐことにもつながり、みなさんがその国に興味も持つきっかけとなり、それぞれの支援の仕方も見えてくるのではないでしょうか。
一人ひとりの小さな思いやりの心が、地道ではありますが、最終的には平和につながるのではないかと考えています。私にとって第二の故郷ともいえるあの美しい街の破壊を一刻も早く止めたいと思いながら、この2年半の間どうすることもできなかった私が、試行錯誤しながらたどり着いた今の思いです。
・加藤 絢子(かとう あやこ)さん/避難者と支援者、それぞれの思いをつなげています
[関心を持ち続けること]
侵攻開始から約2年半。残念ながら未だ戦争は終わっていません。本国の方はもちろん、避難されている方にとって、終わりが見えない中で未来を想像することはとても難しく苦しい状況です。そんな方々に、私たちにはどんな支援ができるのでしょうか。私たちはそれを念頭に置き、日々活動しています。
「自分に何ができるのか」とても難しい問いかけだと思います。でも、それを考えていただくだけでもありがたいのです。世の中の関心が薄れていくことは防げません。だからこそ、関心を持ち続けて“自分には何ができるのか”と今一度問いかけてみていただけたらと思います。
みなさんのその気持ちが、支援の一歩になると信じています。
《コープあいちの「平和活動・国際協力活動」の考え方》
―創立以来大切にしてきたスローガンー
平和とよりよい生活のために
コープあいちでは、すべての人が平和で安心してくらせる社会になることを願って、平和の取り組みをすすめています。
・核兵器廃絶と世界平和の実現をめざし、次世代へ継承します
・誰もが笑顔で食事ができる、ふだんのくらしを大切にします
・飢餓や貧困をなくし、子どもたちへの支援を推進します
・国際間で寛容と協同の精神を広げ、希望の持てる社会づくりに貢献します
みなさんの平和を願うメッセージをお寄せください
コープあいちでは募金を呼びかけています
官民の支援が減少し、今後の活動ができなくなる可能性も。
みなさんの寄付がウクライナ支援者を支えます。