広報モニターと行く
あいち手しごと訪問記[尾州産マフラー]
愛知県を中心とした地域には、古くからものづくりの精神が根づき、手しごとによる特産品が数多くあります。コープあいちも、そのものづくりを大切にしています。
第1回は尾州産マフラーなどの織物工場、石松毛織に広報モニターが訪れ、作り手の思いや商品の魅力に触れました。
●尾州産地とは 愛知県から岐阜県にかけての28市町村からなる地域
全国の約7割の毛織物を生産
尾州毛織物の多くは、国内外のファッションブランドの製品に使われています。軽さ・やわらかさ・なめらかさ・柄の豊富さ・丈夫さなど、高い品質を誇る生地は、誰もが知る海外の有名ブランドにも採用されています。
●尾州マーク
「製織・編立」+「整理加工」の2工程が尾州産地内で行われていると認証を得た生地や、それを使用した製品の証。2016年より運用が開始された。
石松毛織 石垣栄三(いしがき ひでみつ)さん
「尾州産地の機屋(はたや)では、後継者が減ってきていますが、できる限り品質の高い生地を守り続けたいです。」
◎現場見学レポート
『タテ糸の準備』
整経(せいけい)
・タテ糸になる何百本もの糸をビームへ均一に巻き取ります。布の大きさや密度に応じた糸数になるよう、何度かこの作業をくり返します。
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綜絖(そうこう)
・ストールのタテ糸は2700本。ストール用なので少ない方です。
・ビームに巻き取ったタテ糸を、針金のような金具に1本ずつ手作業で通します。500~600本の糸の処理に1時間かかります。
\タテ糸の準備だけで1日を費やします/
石松さん「最初の工程が最も神経を使います。ここで不備があると、織った生地がすべてダメになり、整経からやり直すことになるんです。」
広報モニター「この隙間に細い糸を手で通すなんて、大変!」
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『生地を織る』
製織(せいしょく)
\繁忙期には1人で4台動かすことも/
・織機は昭和46年から使い続けている
・織機を長い時間止めると布の張り具合が変化して、均一な生地に仕上がりません。
・巻いたヨコ糸を納めたシャトルを、タテ糸の間に通すことで生地を織ります。大きな木製シャトルは特注品。
・冬用の生地は夏に、夏用は冬に生産します。工場内は夏は外よりも暑く、冬は外のように寒い環境。
石松さん「音が大きいので、夜の作業はできません。織り始めると一気に仕上げなければならず、都合よく生産することは難しいんです。」
\糸に汗がかかると品質が落ちてしまいます。作業に集中するだけではなく、さまざまな気配りが必要です/
◯広報モニターが尾州マフラーの手触りを実際に確かめました
「やわらかくて、触り心地がいいですね!」
生地をゆっくり織り上げることで、糸へのストレスが少なく、ウールの特徴を最大限に生かした毛織物ができます。
石松さん「最新の量産向け機械と私どもの機械では肌触りや風合いが違います。」
【東海コープ限定品】
「尾州産 ウールマフラー」
石松毛織で織られた生地で作りました。
尾州産ウールを使ったリバーシブルマフラーです。肌触りのよさが特徴。生協オリジナル商品です。
次回予定:11月3週
●取材協力 石松毛織(愛知県一宮市)
昭和20年以前、軽織機による生産を行う工場として創業。その後、大型織機を使った紳士服用の生地を手掛けるように。現在はご夫婦2人で工場を切り盛りしながら、幅広いファッション用毛織物を生産している。
特徴的なノコギリ屋根の工場
明かり取り用の大きな窓が北側に。窓からの光だけでも工場の中は明るい!
《現場見学と生産者の話を聞いて》
・鈴木さん(名古屋市北区)
多くの手間と時間をかけながらすすめる作業は、かなりの根気が必要だと思います。この素晴らしい技術を後世に残すためにも、積極的に尾州毛織の製品を身につけたいと思います。
・鈴木さん(名古屋市東区)
小さな町工場で生産されていることに驚いたのと同時に、そのていねいな仕事ぶりに頭が下がる思いでした。尾州産は肌に優しく、静電気も起こりにくいそうなので、企画が楽しみです。
・河野さん(安城市)
尾州マークの存在を初めて知りました。スーツを仕立てるなら、ぜひこの生地を使いたいです。たくさんの人に尾州毛織の魅力を知ってもらう活動にも力を入れているので、応援します。
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募集案内は来年本誌2月号に掲載。